日本語の表現の多様性

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気持ちのいい天気。午前中のコアクラスは先生がお休みで映画をみただけ。

今日は午後のアカデミックライティングの授業で、SNSをテーマにいろいろとディスカッションをした。これはひとつのエッセイ(随筆ではなく、短い評論のようなもの)を書き上げるためのブレインストーミングの一環で行ったものだが、これがなかなか楽しかった。ソーシャルネットワーキングというものがいつから存在したかというテーマで、人が生まれた時から存在するコミュニティ・つながりはすべてそれであるというのは新しい知見だった。インターネットによって加速度的に大きなコミュニティへとなっただけなのだ。
またSNS利用におけるコミュニティーのメリット・デメリットについても、普段出せない自分を言葉で伝えることでより良く自分を知ってもらうことができるという考えと、人と人との信頼はフェイストゥフェイスでしか生まれないという考えなどが各国の経験に照らして語られるのは興味深い。
とくに子どものSNS利用を制限すべきかという議論では、自分の研究室でのテーマでもあるメディアリテラシーに通じるような話もあり楽しかった。ネット上ではあえて情報を選択することで自分を「ブランド化」できてしまうのはメリットか否か、結局は個々人の使い方によるというところだろう。自分はそれが簡単にできることこそがネットの一番おもしろいところだと思ってますが。
<日本語の表現の多様性>
クラスはお楽しみ授業のセメスターブック(雑誌編集)を除いて、すべて日本人は僕ひとり。周りは元気な子ばっかりだからちょっと気を抜くと置いてかれてしまう。とにかく常になにかしゃべるのに必死。こんな環境のおかげで英語を話すことに対して臆することはほとんどなくなってきたのですが、逆に英語を話していると日本語のよさをあらためて認識したりします。
語彙的な表現の豊かさは英語がまだまだなため比べられませんが、なんといっても日本語は付属語の変化がバラエティに富んでいて楽しい。
英語では
I bought a book.
としかならない文が、日本語だと
僕は本を買った。
私は本を買いました。
わしは本を買ったのじゃ。
だけでなく、
本買ったんだ。
本買ったぜ。
本買ったぞー。
などなど「本」「買う」という単語を変えずとも助詞の変化でたくさんのパターンができる。一人称のバリエーションに加え、付属語の変化でそれぞれが違った趣を持つ生き生きとした文になる。これはほんとにすごいと思う。
某掲示板に出てくる
本買ったお。
なんて表現のおもしろさは英語には決してないのではないか。
それに加えて、書き言葉においてひらがな・片仮名・漢字のもたらす表現の幅がまたすごい。
本を買った。
ほんをかった。
漢字にするかどうするか、些細な違いだけど確実に違った趣を持った文になる。ちょっと例えがわかりずらかったけれど、「くう、食う、喰う」といった違いや「食べ物・たべもの・タベモノ」など、同じ読みであってもさまざまな表現の幅を与えられるのは本当に楽しい。
またこれはちょっと別な表現ですが、カタカナだけで
ホンカッタンダヨ。
なんて表現をすると、一瞬で片言の日本語もしくは特徴のあるロボットの声のような雰囲気をかもし出す。こんな便利な言葉は英語には絶対ない。
違う母国語・文化を持つ人と意思疎通のできる英語は本当に便利だし、楽しい。すばらしいです。ただ日本語のもつ微妙な表現の幅を知ると、本当に日本人で良かったと思います。

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